peace of mind

私も いつかそこに 辿りつく

村上RADIO

やれやれ。

大切なことはだいたい村上春樹辻仁成の作品から学んだと言ったら言い過ぎかもしれないけど、そのくらい私にとって好きで良く読んだ日本の作家はこの2人。そして小池真理子。この3人がベスト3。

中でも最も影響を受けたのは村上春樹。自他ともに認めるハルキスト。ある時期の私にとって春樹の小説はバイブルだったし、癒しだったし、救済だったし、教科書だった。もちろん今でも発売日には新作を手に入れてる。

大学でアメリカ文学(近現代)を学んでいた私が春樹に初めて触れたのは、春樹の翻訳本だった。レイモンド・カーヴァーのものだったと思う。読みやすかったのを覚えてる。中途半端に斜に構えていた当時の私は日本の小説はほとんど読まず、海外の作品ばかり触れていたから、春樹は『ノルウェーの森』の人ってくらいしか知らず、しかも大ヒットした作品=軽いと短絡的に見なしていたから、彼自身の小説を読むことはなかった。それが、卒業後に何気なく読んだ『世界の終わりとハードボイルド・ワンダーランド』に衝撃を受け、今でも春樹の作品の中で一番好きなのだけど、主人公と自分を重ねすぎて、数日は頭がぼーっとした記憶がある。特にラストシーンの葛藤と闘いは。

私は、春樹の描く主人公の言葉に共鳴でき、いちいち刺さるからハルキストになれたのだけど、大抵のアンチの方はこの主人公が気に食わないって言ってて、それもすごく分かってしまう。私も実際にいたら近づきたくない(向こうも近づいて来ないと思う)。なんだけど言葉のチョイスから表現から得意の例えが好きで。人生に対して無欲なのかどん欲なのか、社会からはみ出てしまい(というか適合できず)妙に達観してる。熱いんだか冷たいんだか分かりにくい。で、なぜか女性にもてる。リアルじゃない。泥臭さとかないし、感情のドロドロも滅多に出てこないし、クール。もっとも春樹の作品はファンタジー、SF、その想像力によって作られる世界観や仕掛けが素晴らしいので、登場人物は正直まぁどうでも良いんだよ。ぶっちゃけ。『1Q84』から少し変わった気するけど、それまでの女性の登場人物あんなのいないからね。

さて、今日から始まった「村上RADIO」。春樹がラジオ? 正直信じられなかったけど、始まったら春樹だった。想像通りでいやそれ以上に春樹だった。淡々と好きなことを、彼の描く登場人物のように、語る姿は小説やエッセイの春樹の作品そのものだった。

1時間ずっと聴いていたんだけど。不思議なんだよね。本当に好きなんだろうけど、その「好き」の熱みたいなものが一切、熱っぽさとしては伝わって来なくて。非常にクールな印象。それが本当に不思議だった。そして小説から受ける印象と似ている気がした。淡々としていた。この人はどこか非常に「冷めて」いるんじゃないだろうか、って思わせられるほどに。

好きな人の好きなモノやコトを聴くのは楽しい時間。例えそのモノやコトを知らなかったり、自分が好きじゃなくても「これが好きなんだ!」って熱のこもった話を聴くのは大好き。飽きない。なのになんだろうね、村上RADIOではその楽しさを感じなかった。ジャズについて詳しくないのもあるかもしれないけど。いや、違うな。好きの気持ちが伝わって来なかったんだな。きっと。だから、響かなかった。残念。合わなかったんだと思う。私が。

やれやれ。。。

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